【日 時】2008年7月26日(土)18:00〜20:00(受付開始17:20)
【会 場】岡山国際交流センター5階会議室(岡山市奉還町2-2-1/JR岡山駅西口から徒歩3分)
【テーマ】ファジアーノ岡山の歩みと今後について
【話題提供者】小川雅洋(ファジアーノ岡山スポーツクラブ 統括本部長)
【コメンテーター】宇都宮徹壱(写真家/ライター)
【参加者(会員)】宇都宮徹壱(写真家/ライター) 高原渉(宝塚ジュニア・フットボールクラブ) 中塚義実(筑波大学附属高校)
【参加者(未会員)】前原智子(ファジアーノ岡山ボランティアスタッフ)、飯沼賢一・上森明・栗橋博之・見満淳一郎・米山諒・渡辺喬(ファジアーノ岡山サポーター) 、田口順一・矯安ひとみ・橋本義人・三宅祐司・山辺信義(岡山サッカーサポーティング委員会=OSS委員会)、馬場善久(岡山県サッカー協会財務局長)、藤原直樹・藤原久美子・藤原かおり(ファジアーノ岡山スポンサー)、山下立次(ファジアーノ岡山総監督)、小川雅洋(ファジアーノ岡山統括本部長)、高瀬敦(サッカーコーチ) 杉生憲志 ほか1名
東京で開催される月例会はたいてい平日開催なので、開会の19:00に全員が集まることはほとんどないが、岡山で初の開催(皆すごく楽しみにしている)、しかも土曜日(余裕を持って動ける)ということもあってか、参加者の集まり具合は非常によく、18:00前から自己紹介がはじまった。
進行役は、岡山サッカーサポーティング委員会(OSS委員会。岡山県サッカー協会の委員会として、県協会主催の競技会などでサポート活動を行っている)の田口順一氏。参加者全員の自己紹介のあと、サロン2002理事長の中塚から、サロン2002の簡単な紹介と「サロン2002in岡山」開催の経緯が紹介され、本題に入った。
全体は3部構成。
詳細については「セミナー編」参照。
7月26日(土)20:30〜23:30、ファジアーノ岡山サポーター・リーダーが店長をされている「銀次郎」という韓国料理屋にて懇親会。約15名の参加で盛り上がった。1次会終了後、サロン正規軍(宇都宮、高原、中塚)と岡山陣営(小川、橋本)はスポーツバーに移動、3時ごろまで熱く語った。
セミナーが、どちらかというと、ファジアーノ岡山という“クラブ”の、トップ“チーム”が置かれている厳しい状況(特に財政面)が話題となっていたためか、「クラブとしてのあり方」や「地域としてのささえ方・育て方」をもっと議論したいと思っていた者(中塚・高原あるいは山下氏・馬場氏ら)にとっては非常によい意見交換の場となった。
印象に残っているのは次のようなこと(岡山県ネタを中心に中塚が感じたこと)。
・岡山県は気候が温暖で天災に見舞われることが非常に少ない(水は豊富で水不足の心配がない、台風はそれてくれる、地震もないetc.)。こうした風土のためか、おっとりした県民性で、「どげんかせんといけん(宮崎県知事)」という気概に満ちた人材はほとんど出てこなかった。「燃えない、出さない、まとまらない」(馬場氏)と表現されていた(「出さない」とは「(お金を)出さない」の意)。
・岡山の殿様は池田氏(池田輝政から?)。美濃(岐阜県)からやってきたので、方言にもその影響がある(県民性も似ていると思った)。
・岡山を代表する人物、キャラクターとして、「桃太郎」は一番人気のようだ。ホームスタジアムは「桃太郎スタジアム(桃スタ)」。「ファジアーノ」は、県鳥でもある「きじ」の意。もちろん桃太郎が従えているキャラクター。
・桃太郎の時代(吉備王国時代)以降、岡山が歴史上クローズアップされたのは、秀吉による高松城の水攻めぐらい。しかも、やられている…。大阪と広島の間にあって、あまり目立たない県であった。
・今年からファジアーノのジュニアユースが、中1のみでスタートした。長い目で見て、こうした下部組織の充実は不可欠。トップはなくてもクラブは残る!
それと、今日お話しするところは「東京都サッカー協会の中のフットサルからみた日本のフットサル」ということです。その位置づけは、まず大きなところで FIFAがあって、その下にアジアサッカー連盟があります。日本サッカー協会(JFA)には、Jリーグをはじめとする各種全国の連盟があって、日本協会の下に9地域サッカー協会があります。東京だと関東サッカー協会が統括をしております。それで、私どもの都道府県サッカー協会があります。
これを頭に置きながらこれからのお話しをお聞きいただきたいと思います。
7月27日(日)14:00から笠岡運動公園にて、JFLの岡山ダービー、三菱水島FCvsファジアーノ岡山のゲームがあるため、OSSの方々と車で出かけた。競技場付近のラーメン屋に到着したのは12時ごろ。1時間半近くの移動である。もっと近くで、もっと簡単に行けるところかと思っていたが、大間違い。地元の方々に連れて行ってもらえて助かった。
日本のトップレベルのサッカーは、J1(18チーム)、J2(15チーム)がプロリーグとして運営され、その下部に位置づけられるJFLには企業運動部、地域クラブ、大学と、様々なクラブが加盟している。JFLに属しているJリーグ準加盟クラブの中で、JFL4位以内に入ったところにはJ2に昇格権が与えられる。ファジアーノ岡山は地域リーグから昇格したばかりだが、ここまで順調に勝点を重ね、現時点で3位。準加盟クラブとして、J2への昇格が現実味を帯びてきている。ちなみに対戦相手の三菱水島FCは、企業運動部として歩むことを決断したクラブであり、全員がアマチュア選手(JFL唯一。夜勤あり)。しっかり働いてサッカーもする。現在JFL18チーム中、最下位と、厳しい状況にある。
三菱水島FCのホームゲーム。企業運動部として全員がアマチュアの三菱水島に対し、ファジアーノはほとんどがプロ選手。しかし、三菱水島が「企業スポーツ」であるとは言っても、少年サッカースクールなど、地域と一体となって活動している様子が伝わってくるし、ファジアーノが「プロスポーツ」だと言っても、選手とファン、ボランティアとの距離は近い。アットホームなJFLの雰囲気がある。
ファジアーノのサポーター軍団が、試合開始1時間前から跳びはねて応援している。熱中症で倒れはしないかと心配になる。ホームのサポーターは少なめ。岡山に押され気味であった。観客は1,100名あまり。「今期ホームゲーム最高入場者です!」というアナウンスがあった。ちなみにファジアーノのホームゲームはコンスタントに3,000人入るそうだ。前期の岡山ダービーは、ファジアーノのホームスタジアム「桃スタ」に、6,000人入ったらしい。
試合は見ごたえのある好ゲームとなった(暑かったけど)。前半半ば過ぎに三菱水島のFWが2枚目のイエローカードで退場となり、直後に先制され、あとはほぼファジアーノのゲーム。後半、ファジアーノは何度も決定機をつかむが、体を張って三菱水島は粘って得点を許さない。2点目は、地元岡山出身で、三菱水島から移籍してきた主将の個人技によるもの。その後、もう1点追加し、0-3でアウェーのファジアーノが勝利し、3位をキープした。三菱水島は18位(最下位)のまま。
試合後は、ホームの選手が片付けを手伝ったり、ホーム・アウェー関わらず、選手とファンの距離が非常に近いと感じた。サッカーの幸せな場面がそこにあった。
広島でB級コーチ養成講習会に受講生として参加したその足で岡山入り。ハードではあったが、講習会では中国地方の“志”ある仲間と出会い、岡山でもイキのいい人々にめぐり会え、新たなパワーをいただくことができた。
実は私は岡山県倉敷市水島で生まれ、幼稚園時代も岡山市に住んでいたことがある。両親の出身地である高知県とともに、「他人事とは思えない」親近感がこの県にはある。けど、その割には、これまであまりご縁がなかったのが不思議である。今回出かけてみて、岡山県や岡山市、倉敷市の立ち位置が何となく見えた気がして、たいへんよかった。
全国どこにでも、その土地ならではの歴史と、今日におけるさまざまな事情がある。「桃太郎」は確かにスーパーヒーローである。彼を前面に押し出して突っ走ってもらいたい。地方都市でサッカークラブが地域に根ざして育っていくには、歴史と現状を踏まえる必要がある。サッカークラブを通して自分たちの郷土を勉強するということでいいだろう。「桃太郎」を前面に出し、彼をシンボルにクラブを、まちを盛り上げると同時に、「桃太郎」を生んだ岡山を知るきっかけとする。自分たちの郷土を愛する気持ちと、サッカー・スポーツを愛する気持ちがあって、はじまるのである。
JFLの試合を観戦し、試合後の選手と、サポーター、ボランティアが非常に近い関係にあるのを見て、「すばらしい!」と思った。「これ以上何を求めるの?」という印象である。地方のクラブには地方なりのあり方があっていい。誰もが「Jを目指す」必要はない。
とは言っても、多くの人や組織を巻き込むには、ちょっと背伸びだけれども、トップチームが求心力を持って、目立つところに飛び出していくのも必要なのだろう。その意味では、メディアとのよい関係が欠かせない。試合の勝敗だけでなく、その土地ならではの取り上げ方があるはずである。
そして、長い目でみて残っていくのは、トップチームだけでなく、むしろそれ以外の“クラブ”としての実態である。それは、育成年代の下部組織であろうし、選手以外の普通の人々が楽しめる環境(フットサルコートなど)であろうし、それらが集うことができるクラブハウスである。サッカーからはじまり、さまざまなスポーツ、アートと融合した文化発信基地としてファジアーノ岡山が育っていくことを期待したい。育つには時間がかかる。当たり前である。けど、はじめないと、はじまらない…。
あとで思い出したが、「宮本武蔵」も岡山県の出身。山間部のご出身であることと、全国を渡り歩き、最後は熊本で晩年を過ごしたことなどから、「岡山」とは言いがたいかもしれないけど…。
うまく地域のヒーローを活かすことができればいい。そしてサッカークラブの存在が、自分の住む地域の見直しにつながればもっといい。
開催予定時刻18:00前に参加者が揃い、参加者全員の自己紹介から始まった。進行役は、岡山サッカーサポーティング委員会(OSS委員会。岡山県サッカー協会の委員会として、県協会主催の競技会などでサポート活動を行っている)の田口順一氏。その後セミナー本題へと移った。 |
「サロン2002」の活動は、80年代後半にさかのぼります。基本的には月に1回、東京都内で各会員がいろいろと身近なテーマを持ち寄って開催しています。
ときどき東京以外へ出かけて地元の方と交流を図る「出張サロン」を開いています。これまで新潟、清水、刈谷など、10回ほど開催してきました。今回は、今年度初の出張サロンです。
今まで「出張サロン」と呼んでいたのですが、地方の方からすれば出張でも何でもないので、「サロンin○○」という呼び方に、今年度から変えています。今回も「サロン2002in岡山」としています。
岡山での開催に至った経緯ですが、きっかけは宇都宮さんが執筆された『股旅フットボール』です。宇都宮さんはサロン当初からのメンバーですが、今まで精力的に海外の見知らぬ土地のフットボールを取材していたと思っていたら、いつのまにやら国内ローカルを取材されている。『股旅フットボール』にも著された各地域の状況が「非常に面白いな」と思ったわけです。Jリーグ100年構想というけど、実は地域リーグからJFLをめぐるあたりに、本当の100年構想の根っ子というか、根から大きくなったところが見えるのではないかと思っています。そこで、本年度のサロン2002のテーマとして、“地域リーグを探っていこう”を掲げることとなりました。
今回のサロンでは、ファジアーノ岡山を中心とする動きを僕らも勉強させていただいて、地元の方々とサロン正規軍、といっても3名しかおらず、正規も何もないんですが、このメンバーで熱いディスカッションができれば、お互いにとってプラスになるのではと思います。よろしくお願いいたします。
(中塚から、サロン2002in岡山 開会の挨拶)
岡山での取材は2年ぶりです。前回取材したのは2006年1月、ファジアーノが中国リーグで戦っている時でした。その時は山下監督(当時)に車で送迎してもらうなど非常にお世話になりました。
これからクラブがどうなっていくのかという時期に取材したわけですが、その後の2年で、どんどんとクラブは成長していきました。
去年の全国地域リーグ決勝大会も取材しているのですが、地域リーグのクラブは子どもの成長に似ているなぁとつねづね思います。地域リーグからJFL、J2にあがっていくなかで、クラブは見違えるように成長していく。
もちろん、クラブがどんどん大きくなる中で、予算も増えていく。桁がひとつずつあがっていく。さらに、一方でクラブが大きくなるにつれて、今まで距離が近かったサポーター、フロント、選手という関係が、距離を置かざるを得なくなっていく。
そうなっていった時に、今後ファジアーノがどうなっていくのか、個人的に注目しています。
今日は会をセッティングしていただいてありがとうございます。私もいろいろ勉強させて頂きます。
(宇都宮からのコメント)
ファジアーノ岡山スポーツクラブ統括本部長の小川です。
運営の時、いつもボランティアの方々にはお世話になっております。
今日は限られた空間で限られた人との会話ですので、決していい話ばかりではありませんが、日頃言えない話がこのメンバーで熱く語れたらいいなと思っています。
(小川からのコメント)
ファジアーノ岡山スポーツクラブは、2006年7月に株式会社として設立され、私はそこで取締役統括本部長として活動しています。
(小川雅洋(ファジアーノ岡山スポーツクラブ 統括本部長)
クラブの構造としては、代表取締役に木村(正明)が、GMに池上(三六)がおり、彼はチーム、育成、強化を担当しています。私はその他の仕事全般、つまり営業、庶務、総務、広報、普及などを担当しています。この3名が常勤役員です。
株式会社となりちょうど丸2年が経つわけで、そのファジアーノの足取りを簡単に紹介します。
2003年末にファジアーノ岡山FCができました。
2004年は県リーグを戦い、地域リーグ昇格を果たしました。
2005年は全国地域リーグ決勝大会(以下、決勝大会)まで進出しますが、盛岡、熊本に2敗して終了しております。
2006年に株式会社化し、少しチームの空気が変わったかと思います。この年も決勝大会まで進出しました。神戸に勝利、北海道に勝利、さらに決勝Rで優勝候補筆頭の長崎にも勝利し、盛り上がりは最高潮。我々が不在中の地元岡山では、地元紙での活字の踊り方がすごかったと聞いています。しかし、その次の岐阜に負け、TDKにはPK負けし、JFL昇格権のない3位で終わりました(権利は2位まで)。
2007年に大幅にチームを変えました。選手のモチベーション、フィジカル、スタミナを考えて昼練習へ変更しました。また、手塚(聡)監督を招聘し、池上GMに来ていただきました。その変化の中で19名の選手が退団しました。上を目指すチームが避けて通れない苦汁の選択の一つと思っています。昼練習になることで、仕事を辞めてチームに残ることができない選手は、ファジアーノを辞めていきました。しかし、その辞めた選手の中でも、フロントやコーチとしてクラブを支えてくれた選手もいました。本日参加してくれている高瀬さんもそのスタッフの一人でした。
この年のチームの戦いぶりですが、地域リーグでは危ない試合を経験せずに決勝大会へ進出しました。決勝大会では、06年に長崎で勝利後にチームが緩んだ経験をいかして、僅差ながらも優勝し(優勝しようと思ってしたというよりも、結果として優勝したという感じです)、JFLに昇格しました。
今年(08年)のJFLに臨むメンバーは、前年の地域リーグでのメンバーとあまり変わっていません。ジェフェルソンが抜けて小林康剛が入るという、1名のみの変更です。通常、地域リーグからJFLに上がるときには大きくメンバーを入れ替えるチームが多いのですが、我々は1年前にかなり思い切った改革をした後なので、JFLにあがるときにはあまり変えずにスタートしました。
08年度JFLスタートは、本田、富山、佐川と、前年度の3位、2位、1位との連戦でした。我々はそこに全ての頂点をもっていきました。ですから開幕3連戦について、フロントは勝てる可能性を感じていました。リーグ戦のどこかで息切れはするだろうなという前提のもとですが、初戦に向けて100%のチーム作りを狙った合宿やその他トレーニングを実施しました。その効果もあり、開幕3連勝しました。今までにない文化を岡山で作り上げるために、開幕当初での勝利を狙ったわけです。
その後も昇格組などと試合を重ね、結果、開幕から6連勝、2つの引き分けを挟んでさらに2連勝と、非常にいい戦績でした。ただ、その後は5割の勝率です。
ここまでが、チーム説明になります。
宇都宮さんとの出会いは2006年です。はじめてファジアーノに意識して関わろうと決めたタイミングでして、一木会(いちもくかい)に同席したときに一緒にお話させて頂きました。
ここで話を変えて、チームの問題点や課題について話をさせて頂きます。
まず資金面でのお話です。
本年度は2億1千万円の予算を組んでいますが、実はあと4千万円足りません。うち2〜3千万円はフットサルパークやそこでのスクール、グッズの売り上げで補えそうですが、残りの1〜2千万円が足りないので、スポンサー探しなど現在工面しているところです。ちなみに私が聞いている各チームの予算は、栃木で3億5千万、琉球、鳥取で2億5千万だそうです。富山さんにいたっては、アローズ北陸(北陸電力)とYKK
APという、前年度JFL4位と6位の優良企業のチームがユニフォームの前と後ろのスポンサーになっていますから、予算はお察しのとおりです。
そんな中で、ファジアーノが2億1千万という低予算にもかかわらず3位という成績にいられるのは、プロ監督の招聘などの強化が上手にいっているからと思います。社会人チームには負け続けるとクビになる監督はいないはずです。
ちなみに富山さんは全選手解雇せず、全選手プロ契約して2チーム分の選手がいたと聞いています(正確に調べたわけではありませんが)。我々の2試合目は富山さんが相手でしたので、富山の初戦のビデオテープを苦労して苦労して手に入れて分析したのですが、スタメンがごろっと変わっていた。確か5名ほど変わっていたはずです。
さて、このまま4位以内を保ってファジアーノがJリーグに上がると思っている方が、岡山には8割、サッカーを見ない方なら9割ぐらいいるのではないかと感じています。
J2にあがるとすると、JFLの現在でも厳しい財務状況であるのに、更にハードルが高くなります。確か、現在J2の平均予算が13億円、一番低くて水戸の4億円足らずぐらいと聞いています。来年度ファジアーノが上がったときに3億、4億の予算が組めるのか。それでも最下位のチームレベルです。この状況下で戦うには、選手起用の工夫などで順位をあげていくしかないのですが、ただ、J1、J2共に予算と順位はほぼ比例しています。広島が30億をすこし切れるぐらいの予算ですが、当然トップを走っています。
我々は親会社を持っていない地域チームとして、来期J2を意識して今から3〜4億の準備をしていくのですが、どれくらい苦しいのかと感じています。当然、今のユニフォームスポンサーにはそうなったら今年度の2倍でお願いしたいですし、また、大きな柱のスポンサーが抜けたら、パズルのようにスポンサー枠を組み替えることも必要です。実は去年も決勝大会の時期にはユニフォームスポンサー8社のうち7社は決まっていました。そのくらいの準備がないと難しい。
少し道がそれますが、今年度のJ2への加盟では、準加盟チームが4位までに入れば昇格できるのではなく、仮申請が必要となっています。その申請には来年度スポンサーの仮契約書の準備などが課されるかもしれません。
来年度上がったとして、3億5千万〜4億の予算を組めるような準備を今からしていくこともクラブの課題です。
次にメディアでの取り上げられ方についてお話します。
現状では、勝った負けたのみの報道となってしまっているのが悩みです。勝っていることを伝えるというのは、始めはポジティブなネタが氾濫するのでいいのですが、負け出した時にそういった盛り上がりをしている方は離れていくのではという危惧をしています。やはり勝ち負けだけではなく、私たちとしては頑張って戦っている選手を取り上げて欲しい。給与面ではおそらくはるかに及ばないファジアーノの選手が、Jリーグから1千万円で引き抜かれた選手からボールを奪いシュートを決めている。そういうシーンが頻繁にあるわけです。
アマのレギュラー選手がアルバイトをしながらがんばっている。ほとんどの選手はアルバイトをしながらの生活をしている。プロと名のつくステージにあがった時、強化費が1億5千万〜2億といった予算規模を作れるか不安はあります。
フロントも100円、200円を大切にしています。メモはしてもコピーはしない。紙を遣わない。DVDも返してもらうようにしています。
ホームスタジアムは、「桃太郎スタジアム」を利用しており、これは天皇杯準決勝大会を開催できるスタジアムなので、十分Jクラスです。また、運営に関わるハード的な面も問題ありません。ホスピタリティ面、例えば、スタジアムフードやチケット売り場、来賓をもてなすなどの面ではもう少しの成熟が必要と思いますが、それよりもその他の施設が課題です。
ファジアーノには、専用の練習場やクラブハウスなどは全く何もありません。
一方、徳島、神戸、広島などいろんな所を見に行くと、天然芝2面と人工芝1面という最低限のものをそろえています。同じピッチを使ってトップチームもユース、ジュニアユースも誇らしげに練習をしています。
また、練習後に選手が体を休めるクラブハウスもありません。次の試合に向けてコンディションを調整する施設も全くありません。これらのことは、選手生命を少しでも長くしたい選手達にとって魅力に欠けるのではないかと感じます。
Jリーグにあがった時に、これら設備面での不備が選手集めに苦労する要因になるのではないか、という恐怖があります。いくらお金を同じだけ用意しても、選手が選ぶクラブになるのかどうか、という危惧を持っています。
今は確かに3位という成績ですから昇り竜に見えますよね。結果は明るいです。
しかし見えていない部分があるので、それを問題提起としてお話させて頂きました。
(宇都宮)たまたまですが、今、大分のスポンサーについての記事を書いています。ですからまずは大分での話を取り上げてみたいと思います。
大分のメインスポンサーはマルハン(パチンコホール業)ですが、ユニフォームに胸ロゴがついていない。なぜついていなかというとスポンサーコードが理由です。Jリーグ側の言い分は「子どもが着ることになるであろうユニフォームに、年齢制限のあるもの、例えばお酒やパチンコなどはふさわしくない」というものでした。同じように熊本では白岳問題というものもありました。こちらは焼酎メーカーの高橋酒造のブランドに待ったがかかったわけです。
このスポンサーコードの問題は、“ハードリカー”はダメだけれどもキリンについては“ビールだけでなくジュースを取り扱っている”からOKだとか、非常にグレーなんです。この場でそのグレーな部分について詳しくは触れませんが、いずれにせよ、スポンサー問題というものは、地方のクラブが共通して抱えているんですね。
実は大分は120万人の人口なんですが、九州で一番貧乏な県と言われているそうです。だから県内には小口のスポンサーしかいないので、億単位のスポンサーは県外に求めるしかない。そんな中で、大分に縁もゆかりもないマルハンがスポンサーになって応援しているのは、大分の社長の豪腕経営があったからです。ギリギリの、緊張感一杯の営業スタイルです。でも、そうでもしないとスポンサーがつかない、地方のクラブはやっていけない。
ちなみに、そういったスポンサー企業の社長は、クラブにシンパシーを感じてくれる創業者が少なくないそうです。しかもワンマン企業で。ゼロからJリーグにあがろうと夢を語るクラブに対して自らをダブらせてくれるわけです。面白いことに大分の社長さんによると、会った瞬間にそういう経営者かどうかわかるらしいですよ。そして、ものの10分で話が決まる。
話が少しそれましたが、もうひとつ付け加えさせて下さい。
大分のサポーターはこの一年で、胸スポンサー復活させようと35万もの署名を集めたんです。もう一度言いますが、大分の県の人口は120万人ですよ。つまり人口の4分の1以上です。これはクラブの公共性を県民が認識しているということです。そしてこの署名を、大分のサポーター有志の会がJFAまで自費で行って提出してきたんです。
大分のスポンサー問題がどう決着するかはさておき、地域リーグを取材していると、中央から地方を見る視線と、地方から中央を見る視線とにものすごいギャップを感じますね。
Jリーグ側は、クラブを100つくるとか、J2を22チームにするとか言っています。確かに全ての県にJクラブがあるのは夢があっていいなと思うし、そうなって欲しいとも思います。でもさんざんあおっておいて、あとは皆さん自己責任でやって下さい。というスタンスだけでは問題があるのではと感じます。先のユニフォームスポンサーの件なんかもいい例ですよね。
そのあたりの解決すべき問題は、サッカーそのものだけでなく、国そのものを変えていく必要性があるぐらい大きな問題である気がしますね。
岡山の場合でも、これに似た問題はあるのかもしれません。でもスポンサー獲得に係る問題や資金面での問題は、どこの地域でも、いや特に地方になればなるほど避けられない問題としてでてきますよ。ましてや親会社を持たないボトムアップ型のチームであるほど。そんな中、岡山には立派なスタジアムがある、人口も200万人弱いる、中国地方を代表する街である。これは恵まれていますよ。
ところで、スタジアムや練習場などの施設面も確かに問題ですが、行政の協力はどうなっていますか?
(小川)県の方ではスタジアム関連ですね。県営桃太郎スタジアムの利用を認めてもらっています。
それから来年度に向けた施設管理などの折衝も進んでいます。しかし、優先的に使える確約はありません。陸上競技場である点、全国レベルの大会を開く一種競技場であるといった点も足かせになっているようです。我々としては「借りられなかったら県外に出て試合を行いますよ、それでもいいんですか」とも言っていますが、現状ではこのような感じです。
練習場は岡山市内に4つある天然芝の施設をいろいろとまわして利用させてもらっています。ただし、サッカーの普及による試合数の増加でまともなコンディションの芝がひとつもない状況です。
今後は人工芝の増加も含めて利用の仕方を変えていかなければいけないですね。
確かに県も市も協力はしてくれています。しかしながら、それがサッカーをわかった方が担当しているのかそうでないのか。わかって協力してくれている方ばかりではないので、粘り強く交渉させていただいています。
(宇都宮)山下総監督、練習場の確保は相当苦労されていますか?
(山下)現場サイドから見ても確かに一番課題ですね。決まった場所で練習できませんから。ただ、自前で持つのは大変でしょうから、やはり県とか市とかのものを優先的に利用させてもらっていきたい。しかし、協力は不十分に感じます。J2にあがれば何とかしようかとは言ってくれていますが、、、
(宇都宮)それじゃ遅いですよね。
(小川)まぁその部分はJFLにあがったらと言われたこともある。もう上がったのですけれども。それから同じ県内に三菱さんもあるからとも言われる。岡山市は基本的に文化として大切にしようという思いが薄い気がします。もっとも倉敷市には大切にしようとする方が多いように感じますが。
一方、岡山市は新しいことを受け入れることに時間がかかる雰囲気があります。我々が世論をまきこんで、行政が動かざるを得ない状況をつくるなどの努力が必要なのかもしれません。
(山下)いま、ずっと話を聞いていて思うことがあるので少しよろしいですか。
お金が大切なのはわかります。お金があれば施設も充実できるし、選手も獲得できる。
しかしそれだけでなく、スポーツの価値や文化的な面をどうやって広めるのか、どうやってスポーツそのものの価値を高めていくのか、といったことも重要ではないですか?ゆくゆくはこれらのことがお金を集めることにつながっていくと思います。
私が考えているのは下部組織の充実です。子ども達に夢を与える、そうして徐々に徐々にスポーツの良さを伝える。そこからスポーツそのものの価値を上げていく。
ヨーロッパのような市民が支える文化を創るために、何を、どう行動すべきなのか。そこら辺の事を話し合ってはいかがでしょう。
(スポンサーA)山下さんの言われることにはホント同感なんですが、現実問題としてお金がいるわけです。それにはスポンサーを頼るしかない。あるいはそれ以外なら、ファンクラブを充実させる必要がある。しかし、どれを優先的にするのかではなく、全て並行して一緒にすすめる必要があると思います。トップとしてスポンサーも探す、スタッフとしてファンクラブを今まで以上に組織として整える、これら全てが必要だと思います。確かに短期間で強くなっているからひずみがでるのは仕方がない。でもやらないとしょうがない。だからサポーターの方もこうやって一生懸命支えている。
ファジアーノが強くなるスピードが速すぎるからJ2に上がるのを少し待って欲しいと木村社長は思っているかもしれないが、上がれる時に上がっとかないと。だからスポンサーもつめていかないとダメだし、ファンクラブの組織ももっと充実させる段階だと思います。ここに集まっている人は、一人が10人をファンクラブに入れるつもりで支えていかないと、お金という面ではなかなか難しい。
もしくはJリーグが、J2にあがったチームに補助金を出すなど、政治的な面での何かが必要なのかな。
(小川)補助金、まぁ分配金というのですが、これは今ではもう全く当てにするべきではないですね。Jとしては分配金をあてにするようなチームには上がって欲しくないとはっきり言っています。
06年度、J2が11チームの時で9千万円。もし来年度18チームになったとしたら6千万円あるかないかの額です。将来的に22チームになったら5千万円くらいでしょう。しかし、J2にあがると2千万の年会費と2千万の加盟金が必要になるので、結局残ったとしても2千万円程です。数年前だとJ2にあがったら分配金で楽できたこともあったようですが、今はそんなことありません。
J2の既存チームは、チーム数が増えるのをあまり快く思っていないのではないかと思います。分配金の減少とゲーム環境の劣化を心配するからです。集金能力の無い資金ギリギリのチームが増えて、そこへアウェイゲームをしに行った場合に、プロ選手がプロとして感じられない環境しか提供できないチームでは困りますよね。夢も何もなくなると。
J2で22という枠は決めたけど、足を引っ張るチームは困る。この前、新潟の社長とお話しする機会がありましたが、ファジアーノも、Jに入るなら覚悟を持って入ってこいよと言われてます。
そういえば、その社長とご一緒した時に新潟がどうやって成長してきたのかをいろいろ聞けました。
(宇都宮)でも、新潟のケースではワールドカップという追い風もあったし、お金の集め方も違うでしょう。
(小川)もちろん岡山が全てマネをするべきものではありません。そこは一緒にはできない。新潟の社長も「これから先のチームは新潟と同じようにやってもうまくいくはずがない」と言っています。それを踏まえた上で、「岡山の商工業の方は、夢見るファジアーノを持ちたいなら、それに見合う対価を出しなさいよ」「岡山にプロがあってよかったな、勝った負けたという話題を岡山市民に提供したいな、と思っているなら、岡山で収益をあげている企業は当然お金を出しなさいよ」と話してくれました。親会社を持たない我々がJクラブを持つにあたっては、地域の方々にこのことをもっとわかっていただくことも必要じゃないかなと思っています。
ちょうど我々にも遊技場ホール経営もしているスポンサーがいます。先ほどマルハンの話がありましたが、以前Jリーグにそのことを聞いてみたんです。そうしたら地域リーグでは大丈夫、JFLでもまぁ大丈夫、でもJリーグに上がる時は調整いりますよ、と言われました。
今はピッチボードをお願いしているのですが、宇都宮さんの話を聞いていると、それならまだ問題ないのかなって、ちょっとほっとしましたけれども。
スポンサーとしてはそういうところでしょうか。
サポートしてくれる会員についてですが、去年のファンクラブ会員数は300名。今年は1500名を越えています。うち600名がシーズンパスを購入してくれている。小学生の「夢パス」が4000を超えている。データは6000名分持っています。それだけDMを送付できますし、集めてよかったなぁと思います。
でも、DMをうつと印刷代や郵便代で100万円かかる。やってみるといろいろお金がかかる。
夢を描いていたら結構厳しいところがでてきている。
そういう現状です。
(宇都宮)他に考えなくてはいけない問題もありますよね。
ひとつには、これからJ2に上がった場合にお客さんが更に増えるのかどうかという問題です。実はJ2に上がったチーム(岐阜や熊本)で入場者数が増えてないケースがあるんです。
取材してみると、どうもJFLからJへ昇格するとそこで物語がひとつ完結してしまうことが、その原因である気がしています。そこから先にどう盛り上がるのかをクラブが提示できていない、あるいはJ2というリーグ自体が魅力を提示できていないのかもしれない。
それからJ2はプロの入り口ですよね。しかし、プロクラブに“なった”ことに満足してはいけないわけです。そのいい例が、「クラブを持つということは家を持つことと同じである」という話です。我々の家なんだという思いをもって維持していかなければいけない。掃除も必要だし修理も必要だし、買った時の喜びだけでなく維持していく喜びを持つ必要があるわけです。
クラブも全く同じで、維持をしていかなければならない。その経緯を通してクラブを愛する気持ちがさらに育つ。その行為が親から子へ、孫へと引き継がれ、それが歴史を刻んでいく。
でも現実はそうでなく、いわゆるJ2バブルというものが昇格したチームにみられるという話はよく聞きます。
また、J2のチーム数が増えることでレベルの低下は免れないですよね。それは果たしていいことなのかどうか。選手名鑑を見ると、既にJリーガーが1000名を超えている。これはすごい数ですよ。Jリーガーは我々から見ると日本サッカー界のエリートですよね、そのエリートが1000人いる、しかも、400万〜500万円の年収の場合もある。チーム数を増加すると、そういった選手はますます増えていきますよね。
(小川)う〜ん。こういった問題提起をされると非常に難しいですね。
南米や、たぶんヨーロッパでも300万クラスが大勢いて、でもピラミッド型構造のプロサッカーの世界に選手がいる。そのことに地域の人が誇りをもっている。
岡山でも、プロとしてサッカーを糧にしているという誇り、そういうところに介在しないとダメだと思います。そして、サッカーを糧にする人を増やすために、今までサッカーに集まってこなかったお金を集めるという感覚でやっています。
きれいごとかもしれませんが、スポーツを通じてもっと幸せな生活を目指す、全ての人がスポーツを楽しめる生活を目指す。こういったことはJを目指すことで始まっていくわけです。今までは岡山市の人にはそういうチャンスがなかった。たまにくる神戸や広島の試合を見るぐらいで。それが今はある。
今はJを目指すことによって、プロクラブができることによってお金が集まってくる。だからサッカーを糧にする人を増やすことができる。
実際、我々の中では、安くてもプロ選手が増えること、特に岡山の選手が一度も住所を移さずに岡山でプロ契約をすることが劇的な感動なんです。そしてその感動が大切な一歩なんです。
地域ではそのレベルで夢を追いかけることがスタートではないでしょうか。
プロ選手としての給与うんぬんは、まだこれからです。今はまだJの入り口の手前、ドアが見えるところですから。
例えばうちには、運悪く今年はJでは声のかからなかった選手がいるわけですが、そういった選手がJ以上の感動を持てるように努力している。それは応援であったり、スタジアム運営であったり、ファン、メディア露出、それらを含む空気などです。J2で出場できないよりもファジアーノにきてくれる選手を増やす、給与の高い安いを一度忘れて。そこの繰り返しですね。
しかし、プロというのは、Jリーガーを言うのか、プロ契約選手を言うのか、どうなんでしょうね。プロ契約は地域リーグでもできますし、プロ契約といっても120万円の選手もいますよね。
私はJ1、J2でエリート区画かなと思っているのですが。
(宇都宮)地域リーグではあいまいですよね。Jでバリバリやってもおかしくないような選手もいるわけですから。
話題を変えましょうか。他に話題はないですか?
(小川)すいません、ネガティブな話で盛り上がってしまって。選手の前ではポジティブなんですが(笑)。
今は、地域のイベントに積極的に参加しています。8/3に岡山でお祭りがあるのですが、フロント、選手、ジュニアユース選手全員でその特訓中です。ユニフォーム姿で踊りに参加しますよ。フロントも全員参加です(笑)。
ありがたいお話として、TVへの出演は増えていますね。今日も「VOLA!ファジアーノ」という生放送番組に出演してきました。
あと、当然観客数ですね。まだ足りないとは思っていますが、それでもシーズンパスを持っていない1500〜2000名の有料入場者が毎試合いてくれる。これは岡山のポテンシャルはばかにしたもん ではないなと感じます。
他にも、社長とGMの素晴らしさがあります(笑)。どこのJクラブに言っても「参ったか」と言わせる自信があります。何が素晴らしいかって、そういう人材がファジアーノにいることがすばらしい。時間もお金も惜しまず、文化を創るために汗をかいている。社長、GMを含めてフロント内での距離も近いですし。
それから準加盟チームという立場で、いろいろと助けてもらっています。というか、月額で準加盟費用として10万円払っていますから、その元を取るべくいろいろと相談しています。本当に困った時に助けてもらえる、支えてもらえるように距離を近くにとっています。
そういえばJFLのリーグ運営費が年間で1000万円必要なんで、それはビックリしました。担保金ではなくてです。これはリーグ運営の為に皆で出し合うものなんです。それで、もし残ったらチームの原資にできるような現物支給はあるんです。パンフレットやボールペンなどですね。それらを売って利益にして下さいと。それから実行委員会などの交通費も運営費に含まれているのではないでしょうか。
そのほかJFLスポンサーのアミノバリューやANA、アンブロが、チームやあるいはリーグそのものを支援してくれています。
(田口)時間も経っていますので質疑応答に移りましょう。
(サポーターB)マルハン問題で集まった35万もの署名について、JFAはどのように受け止めていますか?
(宇都宮)7月中になんらかの回答しますとのことです。JFAも35万人という数字にビックリしているようです。地域全体で支えるというJFAの掲げる理念にも合致しているので、誠実な対応を期待したいですね。
(小川)実際の対応は各Jリーグクラブ社長がメンバーとなっている実行委員会で決まるのではないでしょうか。
(サポーターB)JFAの対応が気になるのは、サポーターとしてできることは署名ぐらいだからです。もし今回の署名でもルールが変わらず、それで再度署名活動をやり直すなら、私も参加したいです。
(小川)スポンサーを選り分けするのは良くない、とする肯定派ですね。
(サポーターB)はい。Jリーグが100チームを作りたいといっているわけですよね。しかし地域のスポンサーには限界がある。今日の話を聞いていると、Jリーグはそのスポンサーに制限はかけるのにチームを増やそうという。それは実質無理なんじゃないかな。
確かに業種によって青少年の育成にとって良くないという判断もあるかもしれませんが、そういう業種を除いてしまったら無理なチームも出てくると思います。例えば、鳥取や島根などは山陰でまとまらないと無理じゃないかと感じます。だったら、その地域だけは特例を認めてあげるべきではないかと思います。そうでないと100チームなんかできないんじゃないでしょうか。
(宇都宮)Jリーグは何でもかんでも規則通りというわけではないです。例えば、ヴェルディが川崎から東京に移った件や横浜FCがJFLからスタートした件などです。でも、もちろんお役所的にかたい面もあります。いずれにせよトップ、つまりJFA会長やJリーグチェアマンの決断でしょう。
ただし犬飼さんにしろ鬼武さんにしろ、親会社ありきのビッグクラブ出身ですから、その方々が地域のクラブの現状に想像力をめぐらせて決断してくれるのかに不安は感じますが。今回の我那覇問題をみてしまうと、そういう不安は正直、ぬぐえないですね。
マルハンはいろいろな社会貢献をしていて、例えば電動車椅子サッカー大会のスポンサーもしているそうです。もちろん企業イメージを良くしていきたいという思惑はあるのですが、そういう企業に対してJリーグがどういう回答を出すのか注目したいですね。
(小川)マルハンは(胸スポンサーを)出したいという思いがどれぐらい強いのかというと、、、
(宇都宮)あれはサポーターの思いなんです。
(小川)ですよね。やってくれているという思いがある。
(宇都宮)ここまでやってくれているスポンサーを胸に出して誇りたい。そういう思いがサポーターにあるわけです。
(小川)これは、お金を集めるために胸に出してあげたい、というのとはちょっと論点が違うと思います。サポーターが支えてくれたところへ、新潟の亀田製菓や甲府のはくばくなどと同じように、そこのためになんとかしよう、そういった思いがあってのことだと思います。これもひとつの文化ですよね。
(宇都宮)J2チームのサポーターはスポンサー企業に対する思いが非常に熱いですよね。草津なんかだと買い物は必ずスポンサーの店舗でしようとか言っていますもの。あえて言っちゃいますが、全国区の浦和なんかだと逆に「うち(浦和)のスポンサーにお宅はいりませんよ」と。
(小川)うちではそんなこと言いませんから。ぜひ、おまんじゅうは源吉兆庵(ファジアーノのスポンサー)でお願いします。どら焼きもありますから(笑)。
(宇都宮)ちなみに岡山で一番大きな企業はどこですか?
(小川)林原とかベネッセですね。上場企業はたくさんありますが。
(宇都宮)ベネッセって教育産業ですよね。教育とスポーツは上手くマッチングしないのかな。ずっと歯がゆく見ていますが、実際どうでしょうか?
(小川)ベネッセさんは、ファジアーノに興味は持たれています。文化に対して興味の強い社長さんですので。ただし、基本的なスタンスが全国とか世界になると、岡山に限定したところにどれだけ思いがあるのかはわかりません。Jリーグ全体をなにか良くしようとしているかもしれません。
もちろん耳には入っていますので、今後、私達の力をどれだけ認めてくれるのか、どうやってアプローチしていくのかが課題でしょうか。特にJ2で上を狙うとなると、予算が大幅に上がるので、そういった努力は必要になってくるでしょう。
(サポーターC)スポンサー獲得の際の売り文句はなんでしょうか?どういう感じでお話されているんですか?また、それに対して我々サポーターができることはないですか?
(小川)基本的には社長の幅広い交流の中や、既に知識や興味を持たれている方が営業先となります。
話の内容は、お客さんの数などのデータよりも、やはり思いを伝えることが中心です。
「岡山に誇りがもてるチームを作りたい」「岡山の子どもたちが身近にチームを感じてスタジアムに来れるような文化にしたい」が決め文句ですね。
自分が子どものころは、阪神を見に甲子園へ、広島カープを見に広島市民球場へ、あるいは試合数の少ない岡山球場へ行かなければならなかった。しかも当然、お金がある、一握りの人しか行けなかった。
でも、桃スタがあれば違います。子どもたちがチャリンコふんで「今日はファジの試合がある」って話をしてくれる、そんな生活、文化を創りたいです。例えば、永久に小学生はタダでいいと思います。もちろん人数制限はありますよ、スタジアム全員小学生というわけにはいきませんから(笑)。Jリーグに承認してもらってませんが、気持ちとしてはそういうことです。
岡山の認知度は低いです。だからその部分を逆手にとって、2年前にはいつもこう言っていました。「のぞみが停まる岡山の街を説明するのに、東京では広島のこっち、外人にはbetween
Kyoto and Hiroshima」と。だから岡山には誇れるものが必要だと。冗談ですが倉敷市と合併すればもしかすると簡単に名前は売れるかもしれませんね。
でもそういえば、こんなメールをもらったことがあります。
ディズニーランドで子どものトイレを待っている時に「どちらからですか?」と声をかけられた。「岡山です」と答えると、「いやぁファジアーノありますよねぇ。うちは栃木なんです。先週やりましたよね」なんていわれて感動したと。
これがサッカーの持つ力なのかな。
200万人いてそのうちの1万人が来てくれればJ2の平均を大きく上回る。
70万人の岡山市民のうち3万人ぐらいが見にいきたいと思ってくれて、その人達が順繰りで試合にきてくれればいい。あるいは、ことあるごとにHPを見に来てくれて、それでバナースポンサーが納得してくれたらいい。いろんなことが考えられますが、その基本は、親会社がないことです。
親会社がある昔からのJリーグチームにいっても、スポンサー営業面ではあまり勉強にならない。話が合わない。○億円足りませんって言ったら決算期に関連費用として親会社からくるわけですから、全く違うんです。
で、逆にそういう親会社がないところが魅力ですと営業先には言ってます。
回りくどくなってしまってすいません。でも、こういう考えに共感してもらう努力をしてます。
(サポーターC)気になることがもうひとつあります。
今は3,000人ほどの観客です。雨でも真夏でも熱心に集まってます。でもこれから10,000人ぐらいになっていく、J2にあがる。そうすると見る側の思いが変わってしまいそうな不安を感じています。
今まではサッカーの試合を見られれば良かった。でもそこから先の、勝ち試合を観たい、勝てばいい、といった声に応えるには、勝ち続けなければいけない苦しみや降格のプレッシャーとかが出てくると思うですが、、、、
(小川)もちろん勝ち続けるのは不可能です。だから、勝ち続けることに焦点をあわすのではなく、負け続けてもいい準備をしています。他チームでの話ですが、負け続けるとフロントが心身を壊す。街で食事をするときもこっそり人目につかないお店に行く。確かに、勝ってないのにフロントがへらへらしていたら、市民クラブとして話にならないですけど。
でも我々は絶対的に市民と一緒にチームを作るつもりだから、負けることに恐れはない。負けて去る人は本当のファンじゃないと思っています。どうやったら負け続けても来てくれるファンができるかを考えています。
ガンバも鹿島もトラブルを起すほどの人は負けても来ることです。だからそういった人への一番重い罰則は出入り禁止ですよ。
今のシステムのように、30億ものお金を集めてチームを運営することは、大都市でないと無理です。
そうすると、そんな勝ちようのないカテゴリーに上がった場合も予想されます。そこで勝ちきれるのか。しんどいですよね。だから悔しいですが、負け続ける準備をするのがクラブです。もちろんチームにはそんなこと言いませんけど。
J2の社会人チームでも活動費は3億以下ではないでしょう。人件費込みだとおそらくファジアーノの2倍、3倍かな。ホンダや佐川など社会保険もあって家族にいい生活をさせてあげている。そんな相手に我々が勝っていることがマジックです。今、3位にいることは強化部とチームのマジックです。
(サポーターD)サポーターもそう思っています。僕らも5年ぐらいで上がれたらいいなと思っていたら、今こんな状況なんでおろおろしている。上がったらどうしようかと。のちのち土曜日開催になると、試合に行けるのかも不安です。岡山はまだ、特に中小企業は土曜日休みではないですから。それからアウェイまで行けるのかな?とか。
(小川)別にアウェイでの応援が少ないチームでもいいんじゃないかな。いろんなクラブがあっていいと思いますよ。それから今の話を聞いていて、確かにゆっくり上がるとか、あるいは来年度J2に上がった場合をシミュレーションして、これは大変だとか思っていますよ。
じゃあ来年上がらなくていいかと言ったら、来年は絶対上がらなければいけない。
もし今年上がれなかったら、J2に上がったケースと同じ予算を来年は組んでダントツで抜けていかないとダメだし、逆に言うと今からその準備をしなければいけない。
(サポーターD)ただ、チャンスは掴める時に掴んで、きっちり上がっておかないといけないと僕も思い始めてます。
(小川)と、皆さんはそうおっしゃるんですね。
私は上がるなとは思ってませんよ。ちゃんと上がった時のことを考えています。
ただJFLだろうとJ2だろうと、地域と密着して、地域に必要とされていくことが大切だと思います。
J2とJFLの入れ替えをやろうという話を、私はこう解釈しています。落ちないからいいやとそれほど努力もせず、いつも下位にいるJ2チームは、本当に地域にとって必要なチームなんですか、と。J2からJFLに降格したら存続できないチームは、地域に密着したチームではないと判断する、そういった“ふるい”のような意味があるんじゃないかと。
ホンダなんかは社会人チームだけれども、俺らは浜松FCだ、静岡でも磐田でもないんだ、という熱い思いがある人がいっぱいいますよね
要は、クラブが大きくなるとか小さいとかではなく、文化として根付いていけばよい。空気のように吸い込んでいけばよい。
このプロセスはどこのクラブも一朝一夕でできてはいないし、根付かせていくやり方も様々です。
例えば、うちは無料券を配ることはしません。タダ券をさがすような環境が出来上がるのは良くないと思っています。ただしスポンサー用と相手チーム用の招待券はありますが。
それから、10,000人、20,000人の会員の“数”よりも、自分からなってくれる会員さんが大切だと思っています。無理やりつれられて入ってくれる会員ではなくて。
だけど、自治体やJリーグには中身でなく数字(会員数)が大切です。これはこれで課題ですが。
そういう意味だと富山はいいですね。合併した時に社員と関連業者で1ヶ月で6,600人の会員を集めたそうです。予算も当面はもらえるみたいです。でもよそはよそです。
逆に岡山では、今後どうなるかという不安をサポーターがぜひ持って欲しい。
で、こういう会を設けて、こんな話ができていることが今までにない文化ですよ。
そういえばこんな文化もありますよ。この前うちの家で娘が「今のはオフサイドじゃなかった」って言ってきてね、それは涙出ましたよ(笑)。こんな会話が家でできるとは思いもしなかった。
何軒かのお店には、試合後にTシャツで集まってくれているようです。これも文化ですよね。
試合前とかのスタジアム周辺はどうですか、ファジのTシャツを着た観戦客が歩いているんじゃないですか?私はJFLになってからは、ミーティングやらピッチチェックやら何やらとスタジアムにこもっているので2時間前から外の状況がわからないんです。マッチコミッショナーにいい報告を書いてもらおうと頑張ってますから(笑)。
いま、試合前のスタジアム周辺はどんな感じですか?ユニフォームとか着た方は増えてませんか?
(参加者)・・・
(小川)そうですよね、そんな時間にはみんなもうスタジアムに入ってますよね(笑)
(サポーターB)僕らは試合開始のかなり前からもうスタジアム入りして横断幕とか張ってますから。
(小川)実は、Tシャツ組が今コンビニにいますよとかいう話を聞いたり、アウェーの応援団から、「根付いてきてますね」とかメールがきたりしてるんです。そういう積み上げをしていって、いっしょに不安になりながらやっていくしかないですよ。
(宇都宮)不安もあるでしょう。でも2年前はビラ配りして知名度アップに必死だった。それが今はここまで来ているわけです。これは誇れることですよ。
だから、不安半分、期待も半分でいいんじゃないですか
(小川)もし上がったら、頑張って応援してください。上がらなくても応援してください。
(サポーターE)今日の話の中で何度となくサッカー文化とういう言葉がでていますが、それは果たして本当に“文化”なんでしょうか。ただの“現象”ではないでしょうか。
在学中に、スポーツ社会学の教授が「浦和でさえも現象であり文化ではない。文化とはサッカーが生活に入ったときに初めて呼べる」と話していました。例えば、浦和のサポーターにサッカーをやったことがあるかという質問しても、ほとんどの方がしていないと答えます。また、サッカーの環境にしても、プレーする場所が十分でなかったりします。
では岡山は、現象で終わらさずに文化として根付かせるためには何をどうすればいいのか。例えば「子どもたちに夢を」は良いキャッチフレーズだと思います。子どもたちがサッカーを身近に感じることで文化になりますから。ぜひ、そこのところを知りたいです。
(小川)・・・重いですねぇ。私はJリーグのホームタウン分科会に入っていますが、各地域で取り組み方はばらばらです。
我々の掲げる“子どもたちに夢を”というのは、木村代表が岡山に帰って来た時にしてくれた話からきているんです。彼が子どものころに、広島でリトルリーグの試合をやったそうです。その終了後に対戦相手が「俺は今からカープの試合を見に行くんだ」と言うのを聞いて、それが悔しくて悔しくて今でも覚えていると。僕も子どものころ、巨人阪神オープン戦を親父に連れられて県営球場へ見に行って、堀内のほくろの大きさにビックリしたんですが(笑)。
今から考えると、あの劇場空間を東京の人はいつでも見れるんだなぁと。こういうのを岡山でしたいんですよ。子どもにとって目の前で点を取った選手は大スターなんです、あこがれなんです、そんな選手がそばにいたら、例えばジェフェルソンがいたら、それは大変なことになるんです。それでサッカーが好きになるし、スポーツ少年団の選手にとってすごい刺激になる。だから我々はトップアスリート企画で、子どもとふれあう機会を増やしてます。スクールもやっています。
答えになっているのかわかりませんが 現象が文化に変わっていくというのは、今やれることを一生懸命やっていく中で、その結果として文化が出てくるんじゃないかと思います。
うちの子どもは、僕が今まで何をしていたかわかってなかった。でも今は誇らしげに「うちのおとうさんはファジアーノ」といってくれている。更にその先、孫ができたときに、うちのおじいちゃんはどうもファジアーノの為に頑張っていたらしいとか、50年後にそういわれるかもしれない。
銭金なんかではないところに情熱をかける人、周りから見たら浮いている連中が文化をつくっていくんじゃないかな。個々にできること全てが文化をつくっていく。
文化という言葉は使いやすいので使っているけど、、 う〜ん、何か堂々巡りで上手く応えられてないかな。
(サポーターE)僕は東京出身で、岡山に来て1年半なんですが、岡山はポテンシャルがあると感じます。土地もあるし桃スタ(桃太郎スタジアム)もある。
(宇都宮)今の小川さんの話で思ったのは、ヨーロッパのクラブハウスに行くと必ずといって良いほど設立に関わった方の写真が飾ってある。そういう時代があってその100年後にこれだけのファンがいてスタジアムができた。でも日本の場合はこれからですよね。
ファジアーノもこれから立派なクラブハウスができていって、そこに設立当時の集合写真があるかもしれない。お孫さんがそれを見て「あれがおじいちゃん」って言う。そういうのって想像するだけでも楽しいですよね。
(小川)生きている間に褒められるんじゃなくて、30年先に家族から尊敬される。地域リーグで取った集合写真なんかが家宝になったりするのかな。
(宇都宮)木村社長が、「この仕事をしていることが即ち、生きている証を実感できる」と言っていたのが、すごく心にしみています。誰でも何のために生きているのか自問自答しますよね。それを実感しているのが今なんじゃないでしょうか。
実は僕の本では初めてなんですが、『股旅フットボール』には女性が一人も出てこないんです。この理由をよくよく考えてみると、会社を辞めてクラブに携わる、身分を捨てて地元に帰ってくる、そんなリスクをしょって、身持ちを崩さんばかりにサッカーに情熱をかけるのはやっぱり男なのかな、
女性でそういう人はほとんどいないのかな。
だからあれは男の物語なんです。
(サポーターB)女の人は子どもを残せますから。だから子どもを残せない男は名前を残したいんですよ。
(小川)ま、名前が残ることが中心ではないですよ。
ただ、自分が職を変えたり、サラリーが大きく減ったり、そんな話を家族に対して説明しながらチームにかかわろうと思うといろいろとね。
そういえば信じられませんよね。社長もそうやって岡山に来たのですから。はじめの頃、まだ僕は外部の取締役、かよい女房ならぬかよい取締役をしていたのですが、よく言われましたよ。
「小川さん!全国でこんなチャンスにいられる人は何人いると思いますか?! こんなチームに携われるのは!!」。そんな話を何度もしている間に、どんどんファジアーノの事務所にいる日が多くなって、そうこうしていると今度は自分の会社に帰れなくなってくるんですね。そこはちょっとそういうのありますよ。
ええっと続きは、、
(田口)そうですね。時間も相当オーバーしてますので、続きは懇親会ということで第1部を終了させて頂きます。
小川さん、宇都宮さん、中塚さん、参加された皆さん、本当にありがとうございました。
最後に、明日の観戦に備えてファジアーノ選手名鑑を頂き、セミナーは終了となった。話し合いの場は懇親会へと持越し… |