フットサル・プロジェクト

報告書 futsal Project

第1部.首都圏におけるフットサルの現状

2."人"の観点から
 
1)フットサルに関わる個人、チーム、クラブ概論

 「フットサル」は、とかく「サッカー」と比較される。両者とも「相手ゴールへ、足技を用いてボールをゴールするスポーツ」である。しかしその一方で、「ボールの大きさ」「フィールドの大きさ」「プレーヤーの数」「ルール」など異なる特性も持ち合わせている。なかでもゲームをするための「人数集め」は、「する側」にとって重視される。なぜなら試合を行ううえで、10人(5対5)を必要とするフットサルと、22人(11対11)のサッカーでは量的に2倍違う。数字上では2倍だが、そこで発生する労力は比較にならない。練習や試合を行うための準備段階で、なるべく労力をおさえることはごく当たり前のことであろう。

 この様に「サッカーがしたいが人が集まらない人々」が「フットボール」として共通部分を持つ「フットサル」へシフト変換している様相が想像できる。またJ リーグによるサッカー環境のインフラ整備や、昨今の日本サッカー界の活躍(シドニーオリンピック、アジア大会)もフットサル人気を後押ししていると考えられる。

 「試合がしたい・プレーしたい」と考えた場合、5人1チームで気軽に楽しむことができる。しかし「チームの存続」を念頭においた場合、チームを維持・継続することは困難である。フットサルは、サッカーも含めた他のチームスポーツと比較した場合、「チームの融合・解体」というサイクルのスピードが速く、その頻度も数多く存在する。これまでのチームスポーツには見られなかったフットサル特有の現象であるといえる。

 
2)首都圏(東京都)におけるフットサルに関わる個人、チーム、クラブの現状

 フットサルは多種多様なチームが存在する。中学・高校・大学のサッカー部OBで結成されたチーム、大学サッカーサークルチーム、社会人草サッカーチーム、職場や学校、地域などのコミュニティーから派生したチームなど様々である。チーム形態も11人制のサッカーを続けながらというケースや、転換してフットサルを専門に行っているケースなど多岐にわたる。首都圏では民間施設による"施設選抜チーム"や、既存のチームを民間施設がサポートする形態も存在する。また民間ではなく、地域レベルによる選抜チームや単独チームも存在する。

 フットサルを行う「場所」の料金は、民間施設は1時間10.000円前後、公共施設はその3割程度で確保できる。特に公共施設は、室内体育館が主であることから天候に左右されず、料金も安いため人気が高い。またフットサル以外にも多くのスポーツが行われているため、2〜3ヶ月前から窓口抽選を行うところもある。つまり稀少であるが故に、価値が高く、競争も激しいのである。公共施設運営者への「フットサル」の認知度は高いとはいえず、まだまだ「体育館で気軽にフットサル」ということは難しい。ハンドボールのゴールを兼用したり、コーンを2本並べてゴールにするといった施設、中にはシュート禁止やゲーム練習禁止などの規制がある施設も存在する。また施設内のハードの問題に留まらず、プレーヤーのモラル・マナーの欠如による利用禁止なども起きている。

 また首都圏フットサルの特有なケースとして、「個人参加」といわれるイベントがある。指定された曜日・場所・時間に個人が集まり、ランダムにチームを構成しゲームを行う。その際の情報入手手段は、選手間の口コミはもちろん、各民間施設やフットサル専門雑誌、さらにはインターネットなどが発信源である。場所は民間施設や公共施設などである。

 この様に「チーム(人)」と「場所」があれば、フットサルは楽しくプレーできる。しかしチームが単に「する」ことから「続ける」ことへ移行する時、多くの課題が生じる。その際「同じ志を抱き、同じレベルのプレー水準を持った人員の確保」には手を焼く。学校体育において「するスポーツ」のみを学んできた人々が、学校を離れ、「いざスポーツをしよう」と行動をおこす時、「場所」「人」「費用」を確保する難しさ、厳しさを痛感することは想像にかたくない。

 では、なぜ数多くのチームが存在しうるのか。その理由の一つとして、「何でも屋さん」である「チームマネージャー」の存在が浮上してくる。この「チームマネージャー」を中心に「人集め」「場所探し」そしてそれらを網羅する「情報」を入手していると考えられる。つまりフットサルの発展を支えているプレーヤー層(競技者・愛好者を含む)を、「する場所」まで繋ぎ止めているパイプ的存在の「チームマネージャー」が、フットサルへの多大な求心力を秘めているといえる。

 個人の多様なニーズを包括するフットサルは、「いつでも」「どこでも」「だれとでも」プレー可能なスポーツである。しかし、その様な環境をつくり出している「チームマネージャー」の存在はこれまで度外視されてきたといっても過言ではない。フットサルは個人の自由で多様な選択肢から生じるチーム融合・解体のサイクルが速く、その頻度も多い。つまり個人はチーム間を自由に行き来することが容易なのである。そして個人の集団であるチームの融合・解体に多大なる影響を与えているのはパイプ役であるチームマネージャーなのである。

 
3)FCチェリーの周辺環境

 FCチェリーは、都内で活動する中級レベルのフットサルチームである。チームマネージャである豊田幸夫氏の抱える課題・問題はフットサル連盟の必要性を問う上でも大きな意味を持つと考えられる。以下に豊田氏によるFCチェリーの周辺事情を一事例として報告したい。

<1>チームの現状
・メンバー構成  : 総勢約20名(幽霊部員多数)。平均年齢約26歳。 社会人(フリーター含む)中心、学生が1/4程度。
・主な活動場所  : ミズノフットサルプラザ千住(民間施設)、フットサルクラブ東京(民間施設)他。
・主な活動日   : ほぼ毎週土日に試合、大会。平日夜(週0〜2回)。
・その他     : 幼児・少年昨夏チームのコーチを中心に活動していることもあり、将来的にはあらゆる年代層のチームが活動できるクラブとして活動したいと夢見ている。

<2>チーム運営における課題
・「場」:プレーできる場(コート)、チームの仲間が集いコミュニケーションをとれる場の確保が困難。 民間施設は料金が高く遠い。近所の公共施設利用が困難(学校体育館など)
・「人:プレーレベルに幅があるメンバー構成である点。「掛け持ち」や「仕事」などで毎回同じメンバーで試合に出場できない。「助っ人」に頼ることも多い。
・「金」:メンバーの半数が資金力のないフリーター、学生であるため「大会参加費」「コート利用料」「 ユニフォーム代」などがチーム財政を圧迫している。移動などの交通費もばかにならない。
・「情報」:もっともっと情報が欲しい。公式な大会などの情報が少ないように感じる。メンバーが皆「本物の映像(ハイレベルなフットサル)」を見たいと望んでいる。
・「社会的認知」:「フットサルって何?」と言われる日本の現状。活動するうえで不便さを感じることが多い。

<3>FCチェリーが「連盟」に望むこと
・「場の確保」をある程度でも容易にできるような働きかけ。具体的には「東京都フットサル連盟」主導による東京都内の学校施設解放(体育館でのフットサル使用)を働きかけ。
・多種多様な「人(プレーヤー)」が「仲間」としてのフットサルをプレーするための環境づくり、柔軟な 登録制度。
・「連盟」ならではの安価なサービス。大会、クリニック、審判講習会、指導者講習会など。施設利用料などの割引き。ユニフォームのレンタル(サブだけでも)など。
・「連盟」製作の「フットサルビデオ」。ルールから技術、戦術まで網羅。
・「連盟ホームページ」が充実していれば常にオフィシャルな情報が気軽に得ることができる。
・「社会的認知度」をUPするために「連盟」の存在は不可欠。イベント、メディアへの露出などによる「フットサル」の露出。今回の「世界選手権のスカイパーフェクトTVでの日本フットサル連盟の「働き  かけ」などが良い例。

 

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